そのビザ選び、順序が逆ではありませんか?

外国人の採用や在留資格(ビザ)の変更を考える際、多くの人がまず考えるのが**「この人の経歴なら、どのビザが取れそうか?」**という点です。

しかし、この「取れそうなビザを探す」というアプローチは、入管法の原則から外れており、非常にリスクが高い考え方です。

今回は、在留資格申請の基本であり、最も重要な**「在留資格該当性」**について解説します。

「スペック」ではなく「活動」に合わせる

在留資格決定の絶対的なルールは以下の通りです。

  • ❌ 間違い: 「大卒でN2を持っている」→「このスペックで許可されそうなビザを選ぶ」
  • ⭕ 正解: 「日本で具体的なこの業務を行う」→「その活動に当てはまるビザを選ぶ」

在留資格はあくまで「日本で行う活動」に対して許可されるものです。「優秀だから何でもできる」わけではありません。

よくある失敗例:飲食店での採用

わかりやすい例として、レストランで「ホールスタッフ」を採用したいケースを挙げます。

【悪い例】 「採用予定のAさんは大学を出ているから、ホワイトカラー向けの『技術・人文知識・国際業務』のビザを取ろう。申請書には『通訳・管理業務』と書いておけば通るだろう」

【なぜ危険か】 実態が「ホールでの配膳や接客」である以上、書類上の作文で許可を得ても、それは虚偽申請資格外活動にあたる可能性が高いからです。更新時に不許可になったり、最悪の場合は不法就労助長罪に問われたりします。

【正しい考え方】 「ホール業務」をさせたいのであれば、学歴があっても『技術・人文知識・国際業務』は選びません。現場業務が可能な『特定技能(外食業)』の取得を検討するのが、法令に則った正しい判断です。

許可は「ゴール」ではない

無理やり「取れそうなビザ」に実態を合わせようとすると、将来的に必ず歪みが生じます。

  • 更新のたびにビクビクする
  • やりたくない業務(ビザ維持のための業務)を強いられる

これでは、企業もご本人も不幸になってしまいます。 大切なのは、「行おうとする活動」が、日本の法律のどの枠組み(在留資格)にフィットするかを最初に見極めることです。

当ブログでは、今後も入管法や在留資格の正しい知識をわかりやすく発信していきます。リスクのない適正な申請のために、ぜひ参考にしてください。