本格的なタイ料理、インド料理、中国料理…。本場の味を届けるために外国人調理師を雇いたいと考えた際、最大の難関となるのが「技能ビザ」の取得です。
なかでも、申請者の経歴を証明する「10年以上の実務経験」の立証でつまずくケースが後を絶ちません。今回は、審査を通過するための重要ポイントを整理して解説します。
目次
1. なぜ「10年」なのか? 技能ビザの基本要件
技能ビザで調理師を呼ぶためには、原則として「10年以上の実務期間」が必要です。この10年には、外国の教育機関で調理について専攻した期間も含まれますが、アルバイト期間は含まれません。
※特例措置: タイ料理人については、日タイ経済連携協定(EPA)に基づき、一定の要件(5年の経験や認定証など)を満たせば「5年」に短縮されるケースもあります。
2. 審査の最難関「在職証明書」の信憑性
単に「10年働いていました」という紙を出すだけでは、入管は認めてくれません。
① 在職証明書に記載すべき必須項目
証明書には、以下の内容が具体的に記載されている必要があります。
- 勤務期間(年月日を明確に)
- 職務内容(どのような料理を担当していたか)
- 勤務先の店名、所在地、電話番号
- 発行者の署名と、店の公印(スタンプ)
② 「裏付け」が取れるかどうかが勝負
入管は、提出された証明書が「口裏を合わせた偽物ではないか」を厳しくチェックします。
- 電話確認: 入管が現地(海外)のレストランに直接電話し、本人が本当に働いていたか確認することがあります。
- 店の存在確認: 営業許可証の写しや、店舗の写真、メニュー表の提出を求められることも一般的です。
3. 経歴の「空白期間」と「矛盾」に注意
10年の経歴を複数の店舗で積み上げている場合、以下の点に注意が必要です。
- 期間の重複: A店とB店の在職期間が重なっているなどの矛盾があると、一気に不許可のリスクが高まります。
- 空白期間の理由: 転職の間に長い空白がある場合、その期間何をしていたのかを説明しなければなりません。
- パスポートとの整合性: 在職証明書に書かれた勤務期間中に、日本に短期滞在していたり、他国へ旅行していたりする場合、パスポートのスタンプと矛盾がないか照合されます。
4. 雇用側の「お店」にも求められる条件
調理師個人の能力だけでなく、受け入れるお店側も審査されます。
- 専門店であること: ファミレスのような多国籍なメニューではなく、その国固有の料理を出す「専門店」であることが求められます。
- 適正な給与: 日本人が同等の仕事をした場合と同等以上の報酬(目安として月給20〜25万円以上)を支払う必要があります。
- 座席数: あまりに席数が少ない(カウンター数席のみなど)場合、「本当に熟練の職人が必要な規模か?」と疑われることがあります。
まとめ:書類一枚の不備が「入国不可」につながる
技能ビザの審査は、一度「虚偽の疑いあり」と判断されると、再申請でのリカバリーが極めて困難になります。
特に10年の証明は、海外の古い店舗と連絡が取れなくなっていたり、公印がもらえなかったりと、一筋縄ではいかないケースが多いものです。
「この経歴で10年と認められるか不安」「海外のレストランからどうやって書類を取り寄せればいい?」
そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度専門家へご相談ください。確実な書類準備が、本場の味を日本に届ける近道です。