個人事業主としての実績がある状態で法人化する場合、公庫の融資審査では「法人としての1期目」ではなく、「個人事業の開始日」が起点としてカウントされるのが一般的です。
1. 「新創業融資制度」は2期を終えるまで
最も利用される「新創業融資制度(無担保・無保証)」は、「事業開始後、税務申告を2期終えていないこと」が条件です。
- 個人事業で2回確定申告を済ませている場合、法人設立直後であってもこの制度は原則使えません。
- 逆に、個人事業を始めて間もなく法人化する場合は、引き続き利用できる可能性が高いです。
2. 「新規開業資金」なら事業開始7年以内までOK
新創業融資制度の要件から外れてしまっても、「新規開業資金」という枠組みがあります。こちらは事業開始後おおむね7年以内であれば対象となります。 法人成りは「事業の継続」とみなされるため、個人事業の開業日から7年以内であれば、創業系融資の有利な条件で相談に乗ってもらえます。
3. まったく別事業を立ち上げる場合は「新規」扱い
もし法人成りと同時に、これまで個人でやってきた事業とは全く異なる業種を始めるのであれば、過去の実績に関わらず「新規創業」として扱われるケースがあります。
法人成りで融資を受ける際のメリット・注意点
メリット:個人時代の「実績」が武器になる
完全なゼロからの創業と違い、個人事業時代の確定申告書や通帳の動きが「確かなエビデンス」になります。売上が安定していれば、審査のハードルは新規創業よりも低くなる傾向があります。
注意点:資本金の「見せ金」は厳禁
法人設立時の資本金を、融資で賄うことはできません。また、資本金を準備したプロセス(コツコツ貯めたものか、急にどこからか入金されたものか)は、個人事業時代の通帳まで遡ってチェックされます。
審査をスムーズに進めるための準備
- 個人時代の確定申告書(直近2期分)をすぐ出せるようにしておく。
- 法人化する理由(事業拡大、取引先確保など)を事業計画書に明記する。
- 個人から法人への資産譲渡や、役員借入金の整理を済ませておく。
まとめ
法人成りは「新しいスタート」ではありますが、融資の世界では「これまでの地続き」として評価されます。ご自身の開業日から何年経っているかを確認し、最適な制度を選択することが重要です。