技能実習生を受け入れている企業の中には、
「このまま特定技能に切り替えたい」
と考えているケースも多いと思います。
そこで必ず問題になるのが、給与をどう変更すべきかという点です。
結論から言うと、技能実習時と同じ給与のまま特定技能へ切り替えるのは非常に危険です。
本記事では、制度の違いを踏まえながら、切り替え時に求められる給与の考え方を分かりやすく解説します。
なぜ給与を見直す必要があるのか
技能実習と特定技能は、在留資格の性格がまったく異なります。
| 在留資格 | 制度の位置づけ |
|---|---|
| 技能実習 | 人材育成(国際貢献) |
| 特定技能 | 労働者としての就労 |
特定技能に切り替わった時点で、
- 「実習生」ではなく
- 即戦力として働く労働者
として扱われます。
この変化を給与に反映しないと、
- 同等報酬違反
- 入管・労基双方からの指導
につながる可能性があります。
切り替え後に求められる給与の基本原則
日本人と同等以上の報酬が必須
特定技能では、
- 同じ業務を行う日本人社員
- 同程度の経験・技能を持つ従業員
と同等以上の報酬が求められます。
ここでいう「報酬」には、
- 基本給
- 各種手当
- 賞与(支給している場合)
も含まれ、形式的に最低賃金を超えていればよい、という話ではありません。
技能実習時の給与をそのまま使うと何が問題?
よくあるのが、
「仕事内容は変わらないから、給与も同じでいいのでは?」
という考え方です。
しかし実務上は、以下の点が問題視されやすくなります。
- 実習期間を通じて既に一定の技能を習得している
- 即戦力としての稼働が前提
- 転職が可能な在留資格である
にもかかわらず、
- 最低賃金水準
- 新人扱いの給与
のままだと、「日本人と同等」とは言えないと判断されるリスクがあります。
実務でよくある給与見直しの考え方
切り替え時には、次のような対応が比較的多く見られます。
① 基本給の引き上げ
- 最低賃金ベース → 社内の一般社員水準へ
- 技能・経験を反映した金額設定
② 手当の整理・追加
- 職務手当
- 技能手当
- 皆勤手当
など、日本人社員と同じ体系に組み込むケースです。
③ 月給制への移行
技能実習では時給制が多い一方、
特定技能では月給制+評価制度を採用する企業も増えています。
数字だけでなく「説明できる根拠」が重要
入管審査や指導では、
なぜこの給与なのか
を説明できるかどうかが重要になります。
- 日本人社員との比較表
- 職務内容・責任範囲の整理
- 社内賃金規程
などをもとに、
外国人だからではなく、職務に応じた給与
であることを示す必要があります。
給与を上げない場合のリスク
切り替え時に給与を見直さなかった場合、
- 在留資格変更が不利になる
- 更新時に追加資料を求められる
- 指導・是正対象になる
といったリスクがあります。
結果として、
- 本人のモチベーション低下
- 離職・転職
につながるケースも少なくありません。
まとめ|切り替え=給与設計の再スタート
技能実習から特定技能への切り替えは、
在留資格だけでなく、雇用の考え方を切り替えるタイミング
です。
- 技能実習時と同額は原則NG
- 日本人と同等以上を具体的に検討
- 根拠ある給与設計が必須
切り替えを検討する段階で、
制度と実務の両方を理解した専門家に相談することで、
将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。