永住審査における「独立の生計を営むに足りる資産又は技能」という条件は、単に「貯金があるか」ではなく、「将来にわたって日本社会の負担にならず、安定して暮らせるか」を問うものです。
目次
1. そもそも「300万円」は絶対の基準か?
結論から言うと、単身者の場合、過去5年間の年収が連続して300万円以上あることが、審査の「土俵」に乗るための最低ラインです。
- なぜ300万円か: 生活保護基準や日本の平均所得を考慮し、公的負担(生活保護など)を受ける可能性が低いと判断される目安がこのラインだからです。
- 不許可のリスク: 直近1年だけ300万円を超えていても、その前の年が250万円だったりすると、「安定性がない」として不許可になる確率が非常に高いです。
2. 家族(扶養家族)がいる場合の加算ルール
「年収300万円」はあくまで単身者の基準です。扶養家族(妻、子、本国の両親など)がいる場合、ボーダーラインは跳ね上がります。
実務上の計算目安は以下の通りです。
目安:300万円 +(扶養人数 × 70〜80万円)
具体的な年収ボーダーラインの例
- 夫婦(配偶者を扶養): 約370万〜380万円
- 夫婦+子供1人: 約440万〜460万円
- 夫婦+子供2人: 約510万〜540万円
もし年収が400万円あっても、本国の両親など多くの親族を扶養に入れている場合、「一人当たりの生活費」が足りないとみなされ、不許可になるケースが多発しています。
3. 共働き(世帯年収)は合算できるか?
ここが「技人国(就労ビザ)」と「永住者配偶者等」で判断が分かれる重要なポイントです。
- 原則: 申請者本人の年収が主軸。
- 実務上の運用: 配偶者が「家族滞在」のアルバイト(週28時間以内)である場合、その収入は「補助的」とみなされ、基本の年収要件(300万円など)を補う合算対象としては認められにくいです。
- 合算できるケース: 配偶者も「技人国」などの就労ビザを持ち、フルタイムで働いている場合は、「世帯年収」としてプラスに評価されます。
4. 年収以外に「生計能力」を証明する方法
年収がボーダーラインぎりぎりの場合、以下の要素で補強できることがあります。
- 持ち家の有無: 住宅ローンを遅滞なく返済しているマイホームがある場合、居住の安定性が高く評価されます。
- 預貯金: 数百万円単位の貯蓄があれば、一時的な減収への耐性があるとみなされます。
- 転職のタイミング: 年収が上がっていても、転職直後(1年未満)だと「安定性」でマイナスになることがあります。
まとめ:年収は「過去5年の継続性」が命
永住申請において、年収は「今」だけ良ければいいわけではありません。
不許可を避けるための最大の対策は、「不必要な扶養を外すこと」(節税のために本国の親族を入れすぎない)と、「5年間、安定した年収をキープすること」です。