せっかく優秀な人材に内定を出しても、入管の審査で「不許可」が出る可能性はゼロではありません。この時、契約書に適切な文言がないと、会社は「働けない外国人を雇用し続けなければならない」あるいは「高額な賠償金を払って解雇する」というジレンマに陥ります。
目次
1. 雇用契約書に入れるべき「停止条件」の例文
ビザが取れなかった場合に自動的に契約を無効(または終了)にするためには、「停止条件」または「解約権の留保」を明記することが不可欠です。
【例文:停止条件とする場合】
「本契約は、乙(労働者)が日本国において就労可能な在留資格を有効に取得、または更新することを停止条件とする。万が一、入国管理局より在留資格が不許可となった場合、本契約は遡及して無効となる。」
【例文:解約事由とする場合】
「乙が予定された入社日までに、業務に従事するために必要な在留資格を取得できなかった場合、甲(会社)は何ら催告を要せず本契約を解除できるものとする。」
2. 内定を取り消す際の「正当な理由」とは?
判例上、内定取消しが認められるのは「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である場合」に限られます。
- 認められやすいケース: 契約書に上記のような「ビザ取得を条件とする」条項があり、本人の過失(虚偽申請など)や、どうしようもない理由で不許可になった場合。
- 認められにくい(危険な)ケース:
- 企業側の書類不備や、準備不足が原因で不許可になった場合。
- 契約書にビザに関する条項が一切ない場合。
3. 不許可になった直後の「3つのステップ」
もし不許可通知が届いたら、すぐに内定を取り消すのではなく、以下の手順を踏んでください。
- 入管へ理由を聞きに行く: なぜ不許可になったのか、本人(または取次行政書士)が直接入管の窓口へ聞きに行きます。具体的な理由(書類不足、説明不足など)を確認します。
- 再申請の可能性を検討する: 「書類を揃え直せば許可が出る」という理由であれば、再申請を行います。この方が、内定を取り消して新しい人を探すより早い場合があります。
- 合意解約の協議: どうしても再申請が難しい場合は、本人と話し合い、「ビザが下りない以上、就労は不可能である」ことを相互に確認し、合意の上で契約を終了させるのが最も安全です。
4. アドバイス:オファー前の「ビザ診断」を
トラブルの多くは、「そもそもその学歴と業務内容ではビザが通らない」というミスマッチから起こります。
- 採用を決める前に、パスポートと卒業証明書(学位)を確認する。
- 専門職(技人国)であれば、大学の専攻と業務内容に関連性があるかチェックする。
まとめ:契約書は「守り」の要
外国人採用において、雇用契約書は単なる条件提示の紙ではなく、企業を法的リスクから守るための「盾」です。
「ビザ取得が前提であること」を明確に記載し、本人にもそのリスクを十分に説明しておくことが、健全な外国人雇用の第一歩となります。